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テニスを続けるうえで、上達の次に大切なのが「痛めないこと」です。どれだけやる気があっても、肘や膝を痛めればコートに立てなくなります。
やっかいなのは、これらの故障がある日突然ではなく、少しずつ進行することです。「なんとなく違和感がある」で続けているうちに、気づけば数か月休むことになる——大人からテニスを始めた方に、非常に多いパターンです。
この記事では、テニスで多い故障の正体を知ったうえで、コートに入る前の10分でできることと、プレー後にやっておきたいことを整理します。特別な道具は要りません。
① テニス肘は「肘の使いすぎ」ではない
テニス肘の正式名称は「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」。肘の外側の出っ張った骨のあたりから前腕にかけて痛みが出ます。
誤解されやすいのですが、痛みの原因は肘関節そのものではなく、前腕の筋肉が肘の骨に付着する部分に負担が集中して炎症を起こすことです。つまりケアすべきは肘ではなく前腕だということになります。
なぜ初心者ほどなりやすいのか
テニス肘は、上級者よりも初心者や、30歳以上から始めた方に多いとされています。理由は主に3つです。
- スイートスポットを外す——ラケットの芯を外すと、衝撃が吸収されず腕に直接伝わります
- 手打ちになっている——体を使わず腕だけで振ると、前腕に負担が集中します
- 道具が体に合っていない——硬いガット、重すぎるラケット、太すぎるグリップはすべてリスクを上げます
つまりテニス肘は、技術と道具の問題が体に出たものとも言えます。ストレッチだけでは防ぎきれない部分があり、フォームと道具の見直しも同時に必要です。
こんな症状が出たら
次のようなサインがあれば、テニス肘を疑ってください。
- バックハンドを打つときに肘の外側が痛む
- ドアノブを回す、タオルを絞る、ペットボトルの蓋を開けるときに痛む
- 物を持ち上げるときに前腕が痛む
日常動作で痛むようになっていれば、すでにかなり進行しています。この段階ではストレッチより休養と受診が先です。
② 膝を痛める原因は「止まり方」にある
膝の痛みは、走ることそのものより急停止と切り返しで起こります。テニスは数メートル走っては止まる、を延々と繰り返す競技で、この止まる瞬間に膝へ大きな負担がかかります。
負担を大きくする要因は次の通りです。
- コートが硬い——ハードコートはオムニやクレーより衝撃が大きくなります
- シューズのソールが減っている——グリップが効かず、変な止まり方になります
- 太ももの筋力不足——太ももが衝撃を吸収できないと、そのぶん膝が受けます
- ウォーミングアップ不足——冷えた状態でいきなり動くのが最も危険です
特に大人から始めた方は、日常生活で急停止する機会がないため、体がこの動きに慣れていません。最初の数か月は意識して準備してください。
③ プレー前は「動的ストレッチ」——ここを間違えない
ここが最も重要なポイントです。プレー前に、じっと伸ばす静的ストレッチをやってはいけません。
体が温まっていない状態で筋肉を長時間伸ばすと、一時的に筋力とパフォーマンスが低下することが知られています。準備運動のつもりが、逆効果になってしまうのです。
プレー前にやるべきは、体を動かしながら関節の可動域を広げる「動的ストレッチ」です。
コート前の10分メニュー
- 軽いジョギング・その場足踏み(2分)
まず体温を上げます。じんわり汗ばむ程度が目安です。 - 腕回し(前後10回ずつ)
肩甲骨から大きく回します。肩が回るようになると、肘への負担が減ります。 - 手首の回旋(左右10回ずつ)
前腕を温めます。テニス肘の予防に直結する部分です。 - もも上げ・かかとタッチ(各10回)
太ももの前後を動かします。 - サイドステップ(左右5往復)
テニスの動きに最も近い準備運動です。膝の準備として効果的です。 - その場での軽い切り返し(5回)
少しずつスピードを上げ、実際のプレーの動きに近づけていきます。
合計10分。レッスン開始の10分前にコートに入るだけで実行できます。「時間がない」という方は、せめて1・3・5だけでもやってください。
④ プレー後は「静的ストレッチ」で戻す
プレー後は逆に、じっくり伸ばす静的ストレッチが有効です。温まった筋肉を伸ばし、硬くなったまま固まるのを防ぎます。
前腕のストレッチ(テニス肘予防の要)
腕を前にまっすぐ伸ばし、手のひらを下に向けます。反対の手で手の甲を手前に引き下げるようにして、前腕の外側を伸ばします。20〜30秒キープし、左右2回ずつ。
次に手のひらを上に向け、同じように指を手前に引きます。前腕の内側が伸びます。
痛みを感じるところまで伸ばさないでください。「気持ちよく張っている」程度が適切です。
太もも前面のストレッチ
立ったまま片足を後ろに曲げ、足首を持ってかかとをお尻に近づけます。太ももの前が伸びます。20〜30秒キープ。ふらつく場合は壁に手をついて構いません。
ふくらはぎのストレッチ
壁に手をつき、片足を後ろに引いてかかとを床につけたまま体を前に倒します。アキレス腱を守る意味でも重要です。20〜30秒キープ。
肩・肩甲骨のストレッチ
片腕を胸の前で反対側に引き寄せ、20秒キープ。サーブで肩を使ったあとに効きます。
⑤ ストレッチ以前に見直したい3つのこと
ストレッチは大切ですが、それだけでは防げない部分があります。次の3つは同時に見直してください。
1. ガットのテンションを下げる
硬く張ったガットは衝撃を吸収せず、腕に直接返します。肘に不安があるならテンションを2〜3ポンド下げ、柔らかいナイロン系のガットにするだけでも体感がかなり変わります。
2. グリップの太さを確認する
太すぎるグリップは、握るために余計な力を必要とし、前腕を酷使します。握ったときに指1本分の隙間があるかを確認してください。
3. シューズのソールを見る
ソールが減ったシューズは、止まるときに滑ったり引っかかったりして、膝に不自然な力がかかります。裏返して、パターンが消えていないかを確認してください。
⑥ よくある質問
Q. 痛みがあるけれど、プレーしても大丈夫?
A. やめてください。テニス肘も膝の痛みも、「痛いけれど動ける」段階で続けると慢性化し、治るまでに数か月かかります。数週間休むほうが、結果的に早く戻れます。日常動作で痛む場合は、整形外科の受診をおすすめします。
Q. サポーターは効果がありますか?
A. 肘用のバンドは、負担のかかる位置をずらす効果があるとされています。ただし根本的な解決ではないため、フォームや道具の見直しとあわせて使ってください。
Q. ストレッチは毎日やるべき?
A. 前腕とふくらはぎは、プレーしない日も含めて毎日やる価値があります。1日3分程度で構いません。
Q. バックハンドは両手のほうがいい?
A. 肘への負担という観点では、両手打ちのほうが負担が分散します。片手打ちにこだわりがなければ、初心者のうちは両手打ちから入るのが安全です。
⑦ まとめ
- テニス肘は肘ではなく前腕の問題——ケアすべきは前腕。原因は技術と道具にもある
- 膝は「止まる瞬間」に痛む——コートとシューズの状態を確認する
- プレー前は動的ストレッチ——じっと伸ばす静的ストレッチは逆効果
- プレー後は静的ストレッチ——前腕・太もも・ふくらはぎを20〜30秒ずつ
- 痛みが出たら休む——我慢して続けると慢性化する
テニスは何十年も続けられるスポーツです。10年後もコートに立っているために、今日の10分を使ってください。
道具の見直しは「テニスガットの選び方」と「テニスシューズの選び方」で、練習の進め方は「大人から始めるテニス 最初の3か月上達ロードマップ」で解説しています。お住まいの地域のスクールはテニスクラブ検索・レッスン検索から探せます。
体を守るために、道具も見直してみる
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肘や手首への負担は、ラケットの重さ・硬さ・グリップの太さで大きく変わります。腕にやさしい設計のモデルも増えているので、痛みが気になる方は一度見比べてみてください。
※本記事は一般的な予防・セルフケアの情報であり、診断や治療を目的としたものではありません。痛みが続く場合や日常動作で痛む場合は、自己判断せず整形外科などの医療機関を受診してください。
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